2024/01/18 20:54
昔は身近な植物を使い、人々は日常的に衣服や日用品を作っていました。
道端に生えている苧麻、芭蕉、葛、しなの木など、植物から糸を作り、草木で染め、織る。
道端に生えている苧麻、芭蕉、葛、しなの木など、植物から糸を作り、草木で染め、織る。
各家庭で当たり前の景色でした。
これらの技術を使った織物は、現在は伝統的工芸品として、少し敷居の高い存在となり、伝承されています。
そして、古来から続いている日本の素晴らしい技術、知識が衰退していき、作り手が少なくなっている現状に、仕方ないと思う一方、
少しでも広めることができないかと考えるようになりました。
そんな中、沖縄に昔からあるハイビスカスを使って布づくりを始めてみることにしました。
■糸づくり
植物の糸の原料はセルロース。現在代替繊維や燃料にも使われはじめ、再注目されている素材です。
伝統的な手法では自然発酵を行い、菌の力で繊維を分解し、セルロースを抽出していました。
その手法にならい、ハイビスカスの枝を水に漬けること数か月、どろどろの糸をきれいに洗い流すと、
生成りの光沢のある糸が取り出せます。
■染色
ハイビスカスの繊維は空洞が多く染まりやすいため、植物染料と相性が良いです。草木から取り出した色素の液体に糸をつけ、煮込むと鮮やかな発色と光沢が相まって、独特の深みを出した糸が出来上がります。
色をいただく植物は、ノニ、フクギ、コケ、琉球藍など。
■織り
ハイビスカスの糸は繊維が太く、短いため、撚りをかけたり紡ぐことが難しいです。
また、機械織りでは糸がテンションに耐えられず切れてしまうので、自然と手織りの無撚糸という方法を取ることになります。
時間をかけて手の力で打ち込んだ布は不均一ながらぬくもりを感じる、どこか懐かしい雰囲気を纏ったものになりました。
昔の人はこうやって時間をかけながら家族のために衣服を作っていたのだなと感じることができます。